顧客を理解する

クラスター分析とは — 顧客をいくつに分けるかを、勘で決めない

クラスター分析とは、回答者を「答え方の似た者どうし」で自動的にグループ分けする手法です。あらかじめ分類の正解を与えず、データの中にある塊を機械的に見つけ出します。

最終更新: 2026-07-26

この記事の要点

  • 分ける軸は自分で選ぶ。何を入れるかで、出てくるセグメントは丸ごと変わる
  • 単位の違う変数を混ぜるときは標準化が必須。しないと数値の大きい変数に支配される
  • クラスター数に統計的な正解はない。「名前が付けられるか」が実務の合格基準

何を軸にして分けるか

クラスター分析の結果は、投入する変数でほぼ決まります。性年代を入れれば性年代で分かれ、価値観の設問を入れれば価値観で分かれます。「データに聞けば答えが出る」手法ではありません。

投入する変数出てくるセグメント使いどころ
価値観・重視点何を大事にするかで分かれる層訴求メッセージの出し分け
利用シーン・利用頻度使い方で分かれる層商品ラインナップ、チャネル設計
ブランド評価ブランドの見え方で分かれる層ポジショニングの見直し
属性(性年代のみ)ほぼ属性そのものクラスター分析を使う意味が薄い

標準化 — 省略すると結果が壊れる工程

「年収(万円・0〜2000)」と「満足度(1〜5)」をそのまま混ぜると、距離の計算は年収だけで決まります。満足度の1点差は、年収の1万円差と同じ扱いになるからです。

これを防ぐため、各変数を「平均0・ばらつき1」に揃えてから分析します(標準化)。単位が同じ変数だけ(例: すべて5段階評価)なら省略できますが、迷ったら標準化してください。副作用より、しないことの害のほうが大きい工程です。

クラスター数の決め方

統計的な指標はいくつかありますが、どれも「正解」を返してはくれません。実務では次の順で決めます。

  1. 1まず3〜6の範囲で複数回実行する。7つ以上のセグメントは、実務で運用しきれません
  2. 2各案について、クラスターごとの平均値の表を作り、特徴を読む
  3. 3全クラスターに「一言の名前」を付けられるかを確かめる(例:「価格最優先の合理層」)。名前が付かないクラスターがある案は落とす
  4. 4最小クラスターの構成比を確認する。全体の5%未満なら、施策の対象として小さすぎます
  5. 5残った案の中で、最も少ないクラスター数を採用する

分けたあとが本番 — プロファイリング

クラスターに番号が振られただけでは、何も決まりません。各クラスターが「誰で、何を求め、今どうしているか」を表にして初めて使えます。

  1. 1分析に使った変数について、クラスター別の平均値と全体平均の差を出す
  2. 2分析に使っていない変数(属性・購買実態・メディア接触)でもクラスター別に集計する。ここで「このセグメントにどう届けるか」が見えます
  3. 3各クラスターの構成比と、その層の推定市場規模を出す
  4. 4狙う1〜2クラスターを決め、残りは「今回は狙わない」と明記する

最後の「狙わないと決める」工程を飛ばすと、セグメンテーションは資料の中だけで終わります。分けることが目的ではなく、捨てることが目的です。

クラスター分析で分からないこと

  • セグメントは実在する集団ではありません。データ上の便宜的な塊であり、別の変数で分ければ別の分かれ方をします
  • 同じデータでも、初期値や手法が変われば境界付近の人は別のクラスターに入ります。境界の数人にこだわらないでください
  • サンプルサイズが小さいと不安定です。全体で300以上、各クラスターに50以上残ることを目安にしてください
  • 「このセグメントが儲かる」は分かりません。規模と収益性は別途データを重ねる必要があります

よくある質問

クラスター分析のクラスター数はどう決めますか?

統計指標で3〜6程度に候補を絞り、最終的には「全クラスターに一言の名前が付けられるか」「最小クラスターが全体の5%以上あるか」で決めます。数学的に最良の分割が実務で運用できるとは限らないため、解釈可能性を優先してください。

クラスター分析の前に標準化は必要ですか?

単位や範囲が異なる変数を混ぜる場合は必須です。年収(万円単位)と満足度(1〜5)をそのまま使うと、距離が年収だけで決まってしまいます。すべて同じ5段階評価であれば省略可能ですが、迷ったら標準化してください。

クラスター分析に必要なサンプルサイズは?

全体で300以上、かつ各クラスターに50以上が残ることを目安にしてください。全体200で6クラスターに分けると、1クラスターが30人程度になり、プロファイリングの%が信頼できなくなります。

どの変数をクラスター分析に入れるべきですか?

目的に直結する変数を8〜15程度に絞ります。訴求を変えたいなら価値観・重視点、商品構成を決めたいなら利用シーン・利用頻度です。性年代などの属性は分析に入れず、分けたあとのプロファイリングで使うほうが実用的な結果になります。

毎回結果が変わるのはなぜですか?

多くのクラスタリング手法は初期値に依存するため、境界付近の回答者は実行ごとに所属が変わります。実務では、複数回実行して安定的に現れる構造だけを採用し、境界の数人の所属にはこだわらないでください。

この手法を、実際のデータで試す

クラスター分析ツール

集計用データを読み込み、標準化・クラスター数の比較・特徴表の出力まで行えます。

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この記事について

書いているのは、データ集計・分析・レポート作成を専門に1,000件以上の案件を手がけてきた実務者です。内容は、分析ツールを実装する際に固定した計算仕様(式・丸め・除外規則・境界の扱い)を土台にしています。掲載している数値例は、合計・内訳・人数が整合するように作ってあり、読者が手元で検算できます。その手法で答えられない問いや、読み違えやすい点も本文中で明示する方針です。

公開: 2026-07-26 / 最終更新: 2026-07-26 / 執筆・監修: マーケティングアシスタント

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