価格反応分析(Gabor-Granger法)とは — 価格ごとの「買う人の割合」を測る
価格反応分析(Gabor-Granger法)とは、1人の回答者に複数の価格を順に提示して購入意向を聞き、価格ごとの「買う人の割合」を並べて需要曲線を描く手法です。価格を変えたときに需要がどれだけ落ちるかを直接測れます。
最終更新: 2026-07-26
この記事の要点
- PSMが「価格の範囲」を出すのに対し、こちらは「価格ごとの購入率」を出す
- 購入率 × 価格 が最大になる点が、売上が最大になる価格の推定値
- 調査上の購入率は実売より高く出る。絶対値ではなく、価格間の“落ち方”を読む
聞き方
商品の説明を提示したうえで、価格を1つずつ見せて「この価格なら買いますか」を5段階で聞きます。価格は5〜7水準、想定価格帯を挟んで上下に振ります。
- 1価格水準を決める(例: 248 / 298 / 348 / 398 / 448 / 498円)。心理的な節目を必ず含める
- 2提示順はランダム化する。安い順に見せると「もっと安くなる」と期待され、高い順だと最初の価格が基準になります
- 3各価格で購入意向を5段階(ぜひ買いたい/買いたい/どちらともいえない/あまり買いたくない/買いたくない)で聞く
- 4「ぜひ買いたい」+「買いたい」を購入者とみなして購入率を計算する
需要曲線と売上の読み方
| 価格 | 購入率 | 購入率 × 価格(売上指数) |
|---|---|---|
| 248円 | 62% | 153.8 |
| 298円 | 54% | 160.9 |
| 348円 | 43% | 149.6 |
| 398円 | 31% | 123.4 |
| 448円 | 19% | 85.1 |
| 498円 | 11% | 54.8 |
この例では298円で売上指数が最大です。ただしこれは「認知率・配荷率・1人あたりの購入個数がどの価格でも同じ」という前提の上での最大点です。実際には価格帯が変わると置かれる棚も競合も変わるため、この点をそのまま販売価格の答えとして扱わないでください。
むしろ読むべきはピークの位置よりも、落ち方の変化です。248円→298円は8ポイントの落ちに対し、298円→348円は11ポイント落ちています。348円のあたりに、需要が急に折れる段差があることが分かります。
利益で見たい場合は、購入率 ×(価格 − 原価)が最大になる点を探します。原価が高い商品では、売上最大価格と利益最大価格は一致しません。
PSM分析との使い分け
| PSM分析 | 価格反応分析 | |
|---|---|---|
| 聞くこと | 高い/安いと感じる金額(自由記入) | 提示価格での購入意向 |
| 出るもの | 受容価格帯・最適価格(範囲) | 価格ごとの購入率(需要曲線) |
| 数量の見積もり | できない | できる(相対値として) |
| 向く段階 | 価格帯の当たりをつける | 候補価格を絞り込む |
| 必要な前提 | 回答者が相場を知っている | 価格水準を事前に決められる |
実務では、PSMで受容価格帯を出し、その帯の中に5〜7水準を置いて価格反応分析を回す、という順序が最も無駄がありません。PSMなしに水準を決めると、全水準が「高すぎ」または「安すぎ」に偏ることがあります。
分からないこと
- 競合の存在が入っていません。単独提示なので、棚に並んだときの相対的な割高感は反映されません
- 販売数量の絶対値は出せません。認知率・配荷率を掛けない限り、購入率は市場シェアになりません
- 提示していない価格は分かりません。248〜498円で調べた結果から、198円のときの需要は外挿できません
- 長期の影響は分かりません。値上げ直後の反応と、半年後に定着した後の反応は別物です
よくある質問
Gabor-Granger法とは何ですか?
同じ回答者に複数の価格を順に提示して購入意向を聞き、価格ごとの購入率を並べて需要曲線を描く価格調査手法です。購入率×価格が最大になる点から、売上が最大になる価格を推定できます。
PSM分析とGabor-Granger法はどちらを使うべきですか?
順番に使うのが最も効率的です。まずPSM分析で受容価格帯(下限〜上限)を出し、その帯の中に5〜7の価格水準を置いてGabor-Granger法を回します。PSMなしに水準を決めると、全水準が高すぎるか安すぎるかに偏ることがあります。
価格の水準はいくつ提示すればよいですか?
5〜7水準が標準です。少なすぎると曲線の形が分からず、多すぎると回答者が飽きて後半の判断が雑になります。等間隔ではなく、398円・498円といった心理的な節目を必ず水準に含めてください。
調査で出た購入率をそのまま販売予測に使えますか?
使えません。調査の購入意向は実際の購買より高く出ます。また認知率・配荷率・競合の存在が含まれていないため、購入率はそのまま市場シェアになりません。実務では絶対値ではなく、価格を上げたときの購入率の落ち方(差分)を読んでください。
必要なサンプルサイズはどれくらいですか?
全体の需要曲線を安定させるなら300〜400が目安です。価格ごとに別の回答者を割り当てる設計(提示順の影響を消す方法)を採る場合は、水準数×各150程度が必要になり、6水準なら900前後になります。
この記事について
書いているのは、データ集計・分析・レポート作成を専門に1,000件以上の案件を手がけてきた実務者です。内容は、分析ツールを実装する際に固定した計算仕様(式・丸め・除外規則・境界の扱い)を土台にしています。掲載している数値例は、合計・内訳・人数が整合するように作ってあり、読者が手元で検算できます。その手法で答えられない問いや、読み違えやすい点も本文中で明示する方針です。
公開: 2026-07-26 / 最終更新: 2026-07-26 / 執筆・監修: マーケティングアシスタント
