TURF分析とは — 「人気1位を3つ並べる」が失敗する理由
TURF分析とは、複数の候補の中から何品目かを選ぶとき、「重複を除いて、何人に届くか」が最大になる組み合わせを求める分析です。個々の人気順ではなく、組み合わせ全体の到達人数で評価します。
最終更新: 2026-07-26
この記事の要点
- 人気1位・2位・3位を並べても到達は増えないことがある。ファンが同じ人だから
- 評価するのは「累積の到達率」。1品足したときに何ポイント増えるかで打ち止めを決める
- 必要なデータは複数回答の設問1つ(各候補を「選ぶ/選ばない」の0と1)
人気順に並べるとなぜ失敗するのか
フレーバー候補を10個テストして、選択率が「いちご45%・ブルーベリー42%・ラズベリー40%」だったとします。上位3つを採用したくなりますが、この3つを選んだ人はほとんど同じ人かもしれません。ベリー系が好きな層が3回カウントされているだけです。
| 組み合わせ | 選択率の単純合計 | 1つ以上選んだ人 | 到達率 |
|---|---|---|---|
| いちご+ブルーベリー+ラズベリー | 127% | 204人 | 51% |
| いちご+抹茶+レモン | 112% | 288人 | 72% |
上段は、選択率の合計127%に対して実際に届いたのは204人です。3つとも選んだ人が多く、延べ508票が204人に集中しています。下段は合計112%と少ないのに288人に届いています。棚に置ける枠が3つしかないなら、選ぶべきは下段です。TURF分析は、この重複を機械的に外して最良の組み合わせを見つけます。
必要なデータの形
特別な調査は要りません。複数回答の設問が1つあれば足ります。
| 回答者ID | いちご | 抹茶 | レモン | ブルーベリー |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 0 | 1 | 1 |
| 2 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| 3 | 1 | 1 | 0 | 1 |
結果の読み方 — どこで打ち止めるか
TURFの出力は「1品目のとき最良の組み合わせと到達率」「2品目のとき…」と品目数ごとに並びます。見るべきは到達率そのものより、1品増やしたときの増分です。
| 品目数 | 組み合わせ | 到達率 | 増分 |
|---|---|---|---|
| 1 | いちご | 45% | — |
| 2 | +抹茶 | 63% | +18pt |
| 3 | +レモン | 72% | +9pt |
| 4 | +ミルク | 77% | +5pt |
| 5 | +ブルーベリー | 79% | +2pt |
この例なら3〜4品目が妥当です。5品目の増分は2ポイントで、製造・在庫・棚のコストに見合いません。「増分が5ポイントを切ったら止める」といった基準を、分析前にチームで決めておくと議論が早く終わります。
TURF分析で分からないこと
- 売上・販売数量は分からない。到達人数であって、1人がいくら買うかは含まれません
- 「1つ以上選ぶ」を到達とみなすため、深く愛される商品と、なんとなく選ばれた商品が同じ1票になります
- 候補数が増えると組み合わせが爆発します(20候補から5つ選ぶ組み合わせは15,504通り)。候補は事前に20程度まで絞ってください
- 回答者が候補を実際に見て選んだ結果であり、店頭での見つけやすさは考慮されていません
1人あたりの購入額まで踏み込みたいなら、選択率ではなく購入意向の強さを重み付けしてTURFを回すか、コンジョイント分析でシェアシミュレーションを行う方が適しています。
よくある質問
TURF分析とは何ですか?
複数の候補から数品を選ぶとき、重複を除いた到達人数が最大になる組み合わせを求める分析です。品揃え・フレーバー構成・広告メッセージの組み合わせなど、「枠が限られていて、なるべく多くの人に刺したい」場面で使います。
人気順に上位から選ぶのと何が違いますか?
人気上位の候補が同じ人に支持されている場合、並べても到達人数は増えません。TURF分析は候補間の重複を計算に入れるため、「単体では3位だが、1位と支持層が重ならない候補」を拾い上げられます。
TURF分析にはどんなデータが必要ですか?
複数回答の設問が1つあれば足ります。1行=1人、1列=1候補で、選んだら1・選ばなければ0という形の集計用データを用意してください。特別な調査設計は不要です。
何品目まで増やすべきか、どう判断しますか?
1品増やしたときの到達率の増分を見ます。増分が数ポイントまで縮んだ時点が打ち止めの目安です。分析前に「増分が5ポイントを切ったら止める」といった基準を決めておくと、結論が主観になりません。
候補数が多いとどうなりますか?
組み合わせの数が急増し、計算時間が延びます。20候補から5つ選ぶだけで15,504通りです。実務では事前の選択率で下位を落とし、候補を20程度に絞ってから実行してください。
この記事について
書いているのは、データ集計・分析・レポート作成を専門に1,000件以上の案件を手がけてきた実務者です。内容は、分析ツールを実装する際に固定した計算仕様(式・丸め・除外規則・境界の扱い)を土台にしています。掲載している数値例は、合計・内訳・人数が整合するように作ってあり、読者が手元で検算できます。その手法で答えられない問いや、読み違えやすい点も本文中で明示する方針です。
公開: 2026-07-26 / 最終更新: 2026-07-26 / 執筆・監修: マーケティングアシスタント
